シアターサンモールにてスタジオライフ『エッグ・スタンド』観劇。

本公演では久し振りの新作。萩尾望都の同名漫画が原作。

忘れるから粗筋。第二次大戦中のフランスではナチスドイツの支配が広まっていた。踊り子として働くルイーズはラウルという名の少年を拾う。またレジスタンスのマルシャンは地下活動に対する取り締まりが厳しくなり、ルイーズが住むアパートの屋根裏部屋へ越してくる。三人は楽しく共同生活を送るのだが物静かなラウルには秘密があり…という感じの話。

静かで暗い。全体的に淡々としていて、盛り上がりどころがあるわけではない。逆にいえば、無駄な場面がなく全てが盛り上がりどころだったのかも…とも思う。観劇後に原作を読み返したが、舞台は物語から漂う哀しみや絶望なんかを更に感じることができた。やはり萩尾作品とライフの相性は良い。舞台上で作られた萩尾原作の持つ空気感をナマで感じられるのはスタジオライフならではだと思う。

芳樹ラウルは彼らしい淡々とした語り口でどこか人間ではないような浮世離れした存在。卵殻の中で心が死んでしまった愛も死も分からない未熟な少年…という感じ。久保ルイーズは愛らしく美しく、そして今回は若さ故の弱さと不安定さも垣間見えていて相変わらず良い女優だなと思う。笠原マルジャンは優しくて自分の無力さを分かってる登場人物達の中では大人らしい青年。ラウルに下した決断は彼なりの勇気。哀しみの代償の大きさを考えさせられる。藤原ロゴスキーは胡散臭い男を胡散臭く。奥田バスク爺は無駄に明るい存在がイコールあの芝居の中での癒しの存在。

今回はトークショー付。…といっても既に内容を忘れてしまった。倉田さんが司会で登場して作品への思いを熱く語る。十数年前から上演を切望していた。でも色々なタイミングがあって今回の上演となった。だが、却って今で良かった。一度書いた戯曲を会話劇にしたくてバッサリ削ぎ落とした。…とかそんな話。
トーク担当の役者は久保君、奥田君、芳樹さん、笠原さん、藤原さんの5人。夫々会話劇の面白さや恐ろしさを語っていたような気が…。奥田君が観客は愛している存在だが一番怖い存在、というようなことを言っていたのが印象的。



2017.03.10 Comment:0 | TrackBack:0
12/5の話。

シアターサンモールにてスタジオライフ『DAISY PULLS IT OFF』観劇。

久し振りのデイジー。9年振りの再演だって。へー。

粗筋。下町で生まれ育った少女デイジー・メレディスは、名門女子校グレンジウッド女学院が設立した奨学生制度に合格する。入学早々トリクシーという親友が出来たり、デイジーの入学をよく思わない同級生モニカとベリンダに意地悪をされたりするも楽しく学園生活を過ごす。そして憧れの上級生クレアの家に伝わる秘宝を探したり…という感じの話。

今回はMysticチーム観劇。笠原、山本、岩崎、藤原、曽世のアダルトな各氏がどんな女学生姿を見せるか興味津々だったので。この作品を観る度に、女学生姿の劇団員が並ぶ冒頭に圧倒される。今回も壮観且つ気圧される程の迫力。でも物語が進むうちに徐々に違和感がなくなるのは流石だし不思議。

笠原デイジー、全然おチビちゃんじゃないけど、そういう台詞との不整合さはベテラン的アドリブ乗り切ってた。賢い気の毒な少女。強そうなデイジーではあるけどやはり同情と応援をしてしまう。曽世クレアの年上感、トーマのバッカスでも思ったけど、彼の良き先輩感は何だろうね。安心して観ていられる。山根クレアはこっちで唯一の外部出演。育ちと性格の良さそうな美形男子。芳樹トリクシーはエキセントリックなのにフツーにいい子。関戸デイジーママは佇まいが綺麗すぎ。岩崎シビルは意地悪がキツイが女子校に居がちな意地悪女子。藤原モニカはまさか女子高生役!だが、もっさい意地悪女子感はさすが。若林ドーラのドジッ子キャラが可愛い。逆に千葉ウィニーの意地悪下級生も可愛いっちゃ可愛い。

今日はトークショー付き。司会は関戸君。
トーク出演者は曽世、谷沢、岩崎、山根、仲原…の各氏。
曽世さん:舞台の面白さを体感できる舞台。谷沢龍馬君:舞台で汗だく、ベテラン組は優しい、ダメ出しされてもフォローしてくれる。岩崎さん:倉田さんに(前回もあるから)覚えているよね?と言われて戸惑う。山根君:客演組の中でなんで自分だけベテランチームに配属されたのか?。仲原君:今回はアリスだと思ってた、ベテランチームに入ったことが感慨深い。

再演がある度に書いているかも知れないけれど、デイジーでも何でも、久し振り感があると楽しいものだよね。

2016.12.05 Comment:0 | TrackBack:0
シアターモリエールにてスタジオライフ『BLOOD RELATIONS~血のつながり~』観劇。

"The Other Life"の第9弾、前回は2010年のスリーメンとのこと。久々過ぎ。
シアターモリエールでの観劇はタブン初めて。小さい劇場なので距離的にはどこからでも見易そう。ただ前方席は完全フラットだから、頭の被りとかを考えると見難い席もあるのかも。私は最前列で観劇したので視界に邪魔はなかったが、一段高い舞台を見上げるカタチになって首が少々痛かった。

忘れるから粗筋。
世間から隠れるように姉と二人で暮らすリッヅィーのもとへ友人の女優が訪ねてくる。10年前、リッヅィー達の両親は何者かに斧で惨殺される。相続問題等を抱えていたリッヅィーは容疑者となったが、状況証拠しかなく放免されていた。女優は真犯人は誰なのか?と尋ねるのだが、リッヅィーは真相が知りたいなら貴女が考え演じてみればいい…という。女優はリッヅィーに扮して、事件当時を回顧するのだが…という話。

実際に米国で起きたリッヅィー・ボーデン事件を基にして作られたカナダの戯曲。アザーライフの中でも重く暗いタイプの芝居。話として大きいカタルシスがあるわけではなく、最初から最後まで犯人はリッヅィーなんだろうな…と思わせる。役者の演技だけで見せるので、退屈になりがちではあるけれど、偶にならこういう芝居もいいかも。

役者の感想を簡単に。今回はDoomチーム。
青木リッヅィーは女性らしくしかも百合っぽい、実在のリッヅィーは同性愛者では…と言われていて、それを演出に組み込んでいるのかも。青木君の演じる狂気はどこか芯があって良くも悪くも意志が強く見える。独特。久保女優は相変わらずの美形で佇まいに品がある…ように思える。若さ故の演技の揺らぎも心の揺らぎのように見えて結果的には良かったかも。楢原エンマは燻し銀の引きの演技。奥田ハリーは得意のガサツでクセがあって凄く煩そうな男。疎ましい感じが出てていい。曽世ドクターは小心者の異端さ。石飛アビゲイルは刺々しさが強いイヤな継母で、釦を掛け違えた交流の不可能さを感じるが、アビゲイルの世界(正義)も垣間見えるのが面白い。倉本アンドリューは悪人ではないのに人を救えない普遍的な人間。

上でこういう芝居も偶にはいいと書いたけれど、イベント等のない日に観劇すると少し物足りなさが残る。今回は販促の為にイベント日が多く設定されていたけれど、どうせなら全日やればいいのになーと無い物ねだりをしてしまう。アザーライフだけど観劇料金は安くないんだし、どうせならプラスアルファの何かも付いて満足して帰りたい(という自分の都合でその日に観劇したクセに文句をいうダメ客の意見…)。

2016.10.01 Comment:0 | TrackBack:0
ウエストエンドスタジオにてスタジオライフ『THREE MEN IN A BOAT+ワン』観劇。

また再演なんて倉田さんは新作をやる気はないのかしら…と思いつつ、スリーメンとは何とも懐かしい。確か"The other Life"の演目だったはずだけど、今回は本公演扱いなのかな(違うみたい)。
粗筋は、英国のパブで飲んでいた仲良し三人組+飼い犬が、ちょっとした冒険を求めてボートでテムズ川を旅する話。観るまで忘れていたけれど、本作は客席参加型。客は進行によって席を移動したり、自然の音を表現したり、小道具になったり…とただ座っているだけでは済まない舞台。役者の力量というか盛り上げ方にもよるけど、その場の雰囲気を楽しめれば楽しい作品。

今回もどちらのチームでも良かったんだけど、Mチームにしてみた。
関戸、笠原、山本…というライフの顔ともいえる3人だけど、一方で3人の絡みが想像できなかったから。それとウエストエンドで芳樹さんを真面に観たことがないような気がしたから(WHITEかなんかでは見た気はする)。
…で、この三人、そんなに仲が良さそうには見えないんだけど、でもその分、緊張感や芸でのカバー力に繋がっていでるようで、三人の在り方を観るのが面白かった。
関戸ジョイは一所懸命さと誠実さが伝わるジョイ。関戸君のキャラそのまんまのような気もするけれど、こういう真面目一辺倒なジョイもありかもと思う。笠原ハリスは芸の深さと懐の深さが感じられる大らかなハリス。多少のアクシデントでも、芝居の一部としてしっかり取り込めそうな貫禄がある。山本ジョージは途中ギター演奏や歌有りで多彩さが見える。ジョージは奔放で暢気なキャラなんだけど、芳樹さんが演じると少々エキセントリックな雰囲気も出てくるから不思議。若林モンモは一見大人しいし可愛いんだけど、要所要所で強い主張があるのがギャップになっていて面白かった。

今回はフォトセッションデイ。
パブ回に行ってもお酒は飲まないだろうなーと思ったので必然的にこのイベントに。
適当にポーズを付けた役者を客席から自由に撮影できるのかと思ってた。…が、出演者の4人が川の映像を背景にして座ってる所を時間制限付きで撮影するという何とも味気ない方法。動きのない役者達を撮って面白いのかしら。私は途中で面倒になって動画撮影にしてしまった。味気ないと思うのは私が不良ファンだからだと思うけど、熱心なファンはこれで満足するのかなーなどと余計なお世話的なことを考えてしまった。

2016.05.24 Comment:0 | TrackBack:0
シアターサンモールにてスタジオライフ『訪問者』観劇。

素直に久し振りだと思える、訪問者。
このブログを遡る限りでは前回は2010年3月頃。それでも6年しか経ってないのか。ライフ再演多過ぎ。

本作を観ると、ヘラを演じた色んな役者の顔が浮かぶ。そういう意味では再演を重ねることで、色んな印象を残してくれる作品なのかも知れない。
…とはいえ、観る度に、こんな話だっけな…と印象の薄さを物語る一言が出てしまうのだけれど。

以下、簡単に役者の感想。
楢原グスタフはとにかくダメ男っぷりが際立っていて、諸悪の根源とさえ思えるほど。こういう大人の男性の悲哀をずっと追うのはライフでは珍しいのかもと思う。
久保オスカーは無邪気で物知らぬ年頃の男の子っぽさは出ていた。あと容姿が綺麗。トーマを観た時にオスカーは久保君が演じればいいのに…と思ったけど、こっちで演じてたのか。トーマでも通じそうなオスカー。青木ヘラはアメリカのキャリアウーマン像を体現しているかのような女っぷり。笠原ルドルフは久保オスカーとの遺伝子レベルの親子っぽさがスゴイ。倉本バッハマンはアヤシい言動でグスタフを追いつめるかと思ったら後半全然出てこない不思議。宇佐見トーマスと松本グスタフは可愛らしい少年達。山本ユーリは前回感じた胡散臭さは消え去り正に人好きのする好青年。

そうか。訪問者は役者が大勢出ている割に部分的にしか出ないから、感想が来書きづらいのか。だから訪問者って記憶に残らないのかも知れない。そして、毎度思うけど、本作のどこら辺が落涙ポイントなのか、泣いている皆さんにお聞きしたい気分。





"訪問者"には関係ないけど、ずっとほんのり気になっていた"トーマの心臓"のオスカーのテーマ曲ともいえる曲。なんとフォーレだったのか。




2016.03.06 Comment:0 | TrackBack:0
シアターサンモールにてスタジオライフ『トーマの心臓』観劇。

前回のトーマの心臓は2014年6月頃に上演したから、約二年弱振り。
なので流石に今回の再演は、え、またやんの?的な印象。頻繁に上演を繰り返すと、有り難みが少なくなるのは当たり前だよね…。

私が観始めてから初めてのシングルキャストでのトーマの心臓。トーマ卒業とかいってた人達もしれっと出演していて、ある意味、盤石ともいえるキャスト陣ではあった。
ただ、今回はそれが良くも悪くも作用していて、観劇後に何ともいえない気分になってしまった。ベテラン勢から醸される雰囲気は成熟を通り越して老熟。少年達の初々しく瑞々しい感情がぶつかリ合うはずの舞台なのに、どうにも説教臭さが先に立ってしまう。説得力はあるけれど、やはりどこか腑に落ちない。
初演から20周年記念とうたっているだけに失敗できない舞台、また劇団の実力を示すような舞台にしたかったのは分かる。けれど、これはさすがに守りに入り過ぎではないかと、暫し考えてしまった。

以下、簡単な役者の感想。
山本ユーリは抑えめな役作りで魅力を押さえ込まれた優等生感が良く出ていた。笠原オスカーは包容力はあるのだが動作や台詞が達者過ぎで壮年オスカー。松本エーリクは前半煩い印象が強かったが、後半はナイーブな少年らしさが出ていた。石飛レドヴィもオスカーと同様で今更感があるが、物語の引き締め役や部分的な進行役としてなら有りかも知れないと思う。田中アンテは印象薄いけどオスカー好き好き度は強かったかな。曽世バッカスは卒業メンバーの中では唯一OK、それはバッカスの役柄故だけど、一歩引いた視点と包容力なんかは抜群。ライフ初観劇のトーマを思い出した。仲原サイフリートは今回一番良かったと思う配役かも。声の押し出しが強くて、自信家で洒落っ気があって高慢な感じが良く出ていた。松村リーベはリーダーシップの強い新しいリーベ像。宇佐見シェリーは所作も語りも美しくて、毎度思うがライフ内での良女優。澤井エリザは冷たい雰囲気はあったが惜しくも台詞が飛んでしまっていた…。倉本ヴェルナーは今迄にない新感覚なヴェルナーで、言葉の行く先が主宰や山崎さんとは全然違うような気がした。久保アデールは美しい。今回は医師と助手が復活!していて、藤原ミュラーがオスカーの手を握る場面があった。

今日はトークショー付き。
倉田さんが司会で、笠原、藤原、倉本、楢原、山本、松本の各氏に質問する形式。メンバーと役柄のせいか、父と子という話に絞った内容。一人ずつ、役に絡めた父と子の話をした後、実生活の父親への詫び状的な話。松本君は忙しくて連絡が取れないことがあるが船戸さんのブログを介して交流が…。楢原さんは放浪癖のある父親だったのでそれに比べたら自分は良いのではないか…。藤原さんは芝居をやることで暫く勘当されていたが…。笠原さんは自分の好きなことさえ抑えて生活を支えてくれた父親の分まで自分は好きなことをしていく。
…とかいう感じ。倉本さんの話は忘れてしまった…。




2016.03.04 Comment:0 | TrackBack:0