3/10の話。

シアターサンモールにてスタジオライフ『エッグ・スタンド』観劇。

本公演では久し振りの新作。萩尾望都の同名漫画が原作。

忘れるから粗筋。第二次大戦中のフランスではナチスドイツの支配が広まっていた。踊り子として働くルイーズはラウルという名の少年を拾う。またレジスタンスのマルシャンは地下活動に対する取り締まりが厳しくなり、ルイーズが住むアパートの屋根裏部屋へ越してくる。三人は楽しく共同生活を送るのだが物静かなラウルには秘密があり…という感じの話。

静かで暗い。全体的に淡々としていて、盛り上がりどころがあるわけではない。逆にいえば、無駄な場面がなく全てが盛り上がりどころだったのかも…とも思う。観劇後に原作を読み返したが、舞台は物語から漂う哀しみや絶望なんかを更に感じることができた。やはり萩尾作品とライフの相性は良い。舞台上で作られた萩尾原作の持つ空気感をナマで感じられるのはスタジオライフならではだと思う。

芳樹ラウルは彼らしい淡々とした語り口でどこか人間ではないような浮世離れした存在。卵殻の中で心が死んでしまった愛も死も分からない未熟な少年…という感じ。久保ルイーズは愛らしく美しく、そして今回は若さ故の弱さと不安定さも垣間見えていて相変わらず良い女優だなと思う。笠原マルジャンは優しくて自分の無力さを分かってる登場人物達の中では大人らしい青年。ラウルに下した決断は彼なりの勇気。哀しみの代償の大きさを考えさせられる。藤原ロゴスキーは胡散臭い男を胡散臭く。奥田バスク爺は無駄に明るい存在がイコールあの芝居の中での癒しの存在。

今回はトークショー付。…といっても既に内容を忘れてしまった。倉田さんが司会で登場して作品への思いを熱く語る。十数年前から上演を切望していた。でも色々なタイミングがあって今回の上演となった。だが、却って今で良かった。一度書いた戯曲を会話劇にしたくてバッサリ削ぎ落とした。…とかそんな話。
トーク担当の役者は久保君、奥田君、芳樹さん、笠原さん、藤原さんの5人。夫々会話劇の面白さや恐ろしさを語っていたような気が…。奥田君が観客は愛している存在だが一番怖い存在、というようなことを言っていたのが印象的。

2017.08.06 Comment:0 | TrackBack:0