中山可穂著『ケッヘル』。

著作は全部読んでいるけど、熱狂的な好きなワケでもなく、でも新作が出ると期待するし、目の離せない作家の一人。中山可穂の凄い所は泥沼な愛憎迸る世界を書いたとしても文章や物語が大層綺麗な所。一文だけ見ると特出した印象はないんだけど、概観すると精緻で美しい文章…のような気がする。更に、情念情愛満載な物語でも何故かストイックな感じすら漂うのは何でだろうね。また各小説の主人公が私と気が合わなそうな点も含めて(特に熱帯感傷紀行の人)不思議な作家です。

今回は作風をやや変えてミステリ風な味付けをしていた。そこが今迄と違って取っ付き易い第一点かも。ただそのミステリ部分はやや中途半端な収束の仕方なのだけど。筋の話はさておき、個人的にはアンナ、蟹沢、よし子、成人後の直道…のエピソードをもう少し書き込んでくれたら完璧だったと思う。でもそんなことすると物語が冗長になって本筋が散漫になってしまうのかね。あと、どーでもいいネタなんだけど、「クラブチラリズム」とか「性獣(注:原文通り)」とか甘栗関係でクスリ笑いをした。中山可穂は甘栗明的小説も書けるのかな。別に読みたいという意味でもないけど。

『ケッヘル』が直木賞取ればいいのに的な発言をどこかで見て、それが実現したら大変素敵なコトだなぁ…と思った。だけど冷静に考えると、例え候補に挙がったとしても、粗というか抜けが多々あって(それが確信的なものだとしても)選考委員が勇んで落としそう。…とか思ってたら、中山可穂は『花伽藍』で一度直木賞候補になっていたのね。じゃ可能性が無いわけじゃないのか。

更に関係ない話だけど、『ケッヘル』を読んでる最中に湯川潮音にハマッたので、その時ヘビロテしていた「裸の王様」と「キルト」がこの小説のテーマ曲のようになってしまった…。当然モーツァルトの‘変ホ長調の曲’や「ドン・ジョバンニ」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」辺りもBGMで流してみたんだけど、それよりはシオーネの美しい歌声の方がしっくりきてしまったよ。

あれ…、他にも書きたいコトあったような気がするんだけど…。うーん、何だっけか…。と言うか、後から読むとあんまり褒めてないような。いや、でも久々に買いたくなった(読書はするけど書籍は買わない派なので)大好きな小説の一つなんですよ。

ケッヘル関係の素敵なブログをメモ
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2006.08.05 Comment:0 | TrackBack:0
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